①スリット、ミシン目とは?
部品実装、はんだ付けなどを終えた後、分割できるように
プリント配線板に連続的に設けた(ミシン目状の)穴。Vカットと同じ目的に使用する。
(http://www.towatech.co.jp/glossary/001161.php)
②メリット
・どんな形状の基板にも対応できる。
・大量生産の場合コストメリットが見込める。
・部品に与えるストレスを(切り離しに機械を用いれば)小さく出来る。
③デメリット
・ルーター加工を行った場合、加工に持間がかかる。
・大量生産の場合、金型代が発生する。(若しくは高くなる)
・ミシン目の部分にバリが発生するので、考慮が必要。
・スリット幅分は捨てることになるので、面積=コストにとってデメリットになってしまう。
「Vカット」にしても、「スリット・ミシン目」についてまとめてみましたが、
さまざまな要因により、メリットとデメリットも変わります。
まとめてみて、改めて感じました。
コストに直結する部分ですので、大事なことです。
①Vカットとは?
電子回路基板製造用パネル又は電子回路実装基板パネルから
個々のプリント板を取り外すのを容易にするため、あらかじめプリント板外形に沿って
材料の一部をV形に除去する機械加工法
(http://www.towatech.co.jp/glossary/000997.php)
(http://pcb-center.com/images/pdf/fabrication_specs.pdf 13ページを参照)
②メリット
・コストメリットが見込める。
・(数量にもよるが、)加工時間が短い。
・(数量にもよるが、)金型代が不要。
・切り離し治具がなくても、簡単に切り離せる。
・切り離し治具があれば、ストレスなくカットできる。
③デメリット
・割り加工時に、部品へのストレスがかかるので、部品破壊の可能性がある。
・加工賃が発生する。(量産金型を作った場合との比較)
・加工精度を考慮しなければならない。
・直線的なカットしか出来ない。(ジャンプして、途中を加工無しにすることは可能)
・「割れ」「反り」の可能性もあり、薄い基板には不向き。
・連続して使用する場合、公差も累積されるので、単品基板寸法の制度が悪くなる。
※メリット、デメリットで相反する内容を挙げていますが、
これについては別途説明します。
と、言うだけではだめだと思い、自分なりのチェックリスト作成中です。
近日公開???
①Vカット
基板と基板を隙間なく組み合わせることが出来て、効率の良い方法ですが
実際には、それによるデッドスペースが発生します。
・Vカットの場所=基板エッジ から、パターン禁止エリアが発生する
Vカットの幅がどうしても必要なので、単純なエッジの場合より大きく必要です。
・Vカットを手割ではなく、基板カッターを使って切り離す場合、
その「切りしろ」がデッドスペースとして発生する。
②スリット・ミシン目
基板と基板(若しくは捨て基板)をスリットで分けて、ミシン目で繋ぐ方法で、
スリットの幅分は空間として必要になります。
・スリットの幅は、基板の仕様や生産設備によって変わりますが、
周囲すべてに、1mm~2mm程度のスリットを形成しますので、
Vカットより余分なデッドスペースが出来てしまいます。
・ミシン目を切り離すことで、基板個片を取り出すのですが、
これを切り離す機械を使う場合、それに必要なデッドスペースが
ミシン目の周囲に発生します。
※スリット・ミシン目のメリットは?
「自由な基板形状が形成できる」につきます。
Vカットの場合は、「直線しかできない」という制限がありますが、
それにとらわれず、どのような形でも対応できます。
ちょっと横道にそれますが、次回はVカットとスリットミシン目について
もう少し詳しくまとめてみます。
1.生産時に使用する搬送装置に基板を搭載するために必要なデッドスペース。
⇒通常、上下2本のレールにはさまれる形で、生産時の基板は工程を
搬送されます。
このレールによる、「部品搭載不可」の範囲がデッドスペースになります。
2.部品実装のために必要なデッドスペース
⇒アキシャル・ラジアルの部品実装にしても、チップ部品の部品実装にしても、
機械で部品実装するに当たり固定するための穴や、その周囲のスペース、
基板周囲の部品配置禁止領域などがデッドスペースとして発生します。
3.基板切り離しのために必要なデッドスペース
⇒Vカットやミシン目を使用して、シートから基板単品は切り離しますが、
生産の場合は、その作業に機械を使うことが多く、それによりデッド
スペースが発生します。
4.半田付け時の反り防止対応デッドスペース
⇒特に、半田付けでフロー作業を行う場合に、大きい基板であれば熱による
反りが発生して、半田付けの完成度が悪くなったりします。(不ヌレ等)
そのために、基板中央名が手方向に細い板状金具を装着して、
対応を図ることがあり、そのエリアがデッドスペースになります。
他にもあるかもしれませんが、おおよそこれらの考慮は必要になります。
もちろん、工場によってその数値等は変わりますので、注意が必要です。
328×247
①4等分=(328-6-6)/2 × (247-6-6)/2 = 157 × 117.5
②6等分-A=(328-6-6)/2 × (247-6-6-6)/3 = 157 × 76.3
③6等分-B=(328-6-6-6)/3 × (247-6-6)/2 = 103.3 × 117.5
247×247
①4等分=(247-6-6)/2 × (247-6-6)/2 = 117.5 × 117.5
②6等分-A=(247-6-6)/2 × (247-6-6-6)/3 = 117.5 × 76.3
本来、もっと細かくしたり、大きくしたりすることは出来るのですが、
まずは検討用ということで、ワークサイズが2種類だったとして、
各々4等分と6等分を考えると、上記のようなサイズ分割が可能なことが分かります。
つまり、シート基板で捨てる部分が少ない大きさの設定が上記5種類になるわけです。
シートの取り数を増やすことはできますが、捨てしろが必ず6mmづつふえるので、
取り数を増やすと、とコストは高くなっていくことには注意は必要です。
さて、シートサイズが上記5種類ということで、まずは基準が出来ました。
次に考えなければいけないのは、そのシートにおいて、どのような考慮をする必要が
あるのか? ということになります。
一般的な試作の場合と量産では、考え方が変わってきますが、
まずは量産を前提で考えます。
①生産時に必要となるデッドスペース
②基板を組み合わせるのに必要となるデッドスペース
上記の2つを考慮しなければいけません。
①ウンレジ → 運を払うレジ?
②アルミニウムゴブイ → アルミニューム5部位?
③ミックプラス → ミックさんに何を足す?
④スペシャルプラス → どんなサービス?
⑤パオン → 象?
⑥ポン → 麻雀? チーは?
⑦ブロン → 武尊論? の省略形?
⑧バッテンプ → 「ばってん」ぷ? 熊本のお菓子?
⑨ボウト → 暴徒じゃないよね?
⑩エルシーダン → モロボシ・ダンとスティーリー・ダンを思い出しました
①UNREG → UNREGULATE
②AL5V → ALWAYS
③MIC+ → MICROPHONE
④SP+ → SPEAKER
⑤PAON → POWER AUTO ON
⑥PON → POWER ON
⑦BLON → BACK LIGHT ON
⑧BATTEMP → BATTERY TEMP
⑨VOUT → VIDEO OUT
⑩LCDAN → L.C.D ANODE
回路図上での表記が下になります。
英語を省略して信号名にするから、わけが分からなくなるんですね。
ちなみに一般的な読み方は、下記のようなものではないでしょうか?
①アンレギ
②エーエルゴボルト、オールウエイズゴボルト
③マイクプラス
④エスピープラス、スピーカープラス
⑤ピーエーオン、パワーオートオン
⑥ピーオン、パワーオン
⑦ビーエルオン、バックライトオン
⑧バットテンプ
⑨ブイアウト、ビデオアウト
⑩エルシーディーアノード、エルシーディーエーエヌ
そういえば、最初に入った会社で、ツェナーダイオードのことを
チューナーダイオードと言っている先輩がいました。
ただ、発音が悪かっただけなのか?
本当にチューナーダイオードがあるのか?
今となっては、真相は闇の中です。
加工する際に、どうしても必要な「捨てしろ」が存在します。
これは、色々な要素が絡んで決定されています。
一般的に、量産品の場合は金型を使って作成されます。
また、試作の場合はルーター加工によって作成されます。
どちらの場合でも、位置あわせなどの作業領域が必要になるのですが、
これも工場によってまちまちです。
殆どの工場は、この「捨てしろ」についても教えてくれます。
例えば、これについて尋ねたら、
「最外形からは、3mm必要で、基板間は6mm必要です」
という回答がもらえます。
328×247をもっとも効率よく4分割する寸法はこれから決定できます。
最外形は、両サイドで6mm
4分割ということは、328も247も2分割することになるので、各々6mm
つまり、(328-6-6)/2 と (247-6-6)/2 なので、
158×117.5 がもっとも効率の良いサイズになります。
6等分なら、どちらを3分割するかで変わるのですが、
103×117.5
158×76
のどちらかがもっとも良い寸法です。
これは、度々計算するのは大変なので、自分なりの表を作っておけば便利です。
ワークサイズの数だけ、当分表を作っておけば万全です。
(試作用(NC加工)、量産用(金型加工)で2種類は必要になりますが・・・・・・)
基板の仕様でも変わりますので(内層がある場合等)注意は必要です。
]]>定尺基板 ; 100cm×100cm 若しくは 100cm×120cm の 生基材
100cm×120cmについては、L尺・L寸という表記をする
ワークサイズ ; 定尺基板を作業しやすいサイズに分断したもの
各工場によって、それぞれ独自のサイズを数種類持っている
シート基板 ; 単品の基板を組み合わせて、一枚にした基板
単品の基板が、スリット+ミシン目、Vカットなどで組み合わされて、
一枚の基板になっている
同じものを複数個組み合わせることもあれば、同じ基板だけを
組み合わせて構成する場合がある。
「328x247のワークサイズがありますよ。
これは、定尺から12枚取れるものです」
基板工場の営業との会話です。ワークサイズを教えて欲しい!
という要望に対して回答をいただいたときの言葉です。
328=1000mmから三等分した捨てしろを含む寸法
247=1000mmから四等分した捨てしろを含む寸法
定尺(1000mm×1000mm)から、3×4で12枚のワークサイズの基板が取れる
ということですね。
それで、基板工場にもよりますが、㎡単価(定尺単価)を教えてもらえると、
およその価格予想ができることになります。
例えば、㎡単価が12000円の場合、12枚とることができれば、
328×247のワークサイズは1000円ということになります。
①基板サイズについては上限サイズが存在する
(もちろん特注で対応可能なサイズはあります)
②例えば、300×300のワークサイズからは、
300×200の基板は一枚しか作れずに、残りの300×100については
捨てることになってしまう
(便宜上、加工に必要な捨てしろについては、しばらく考えないことにします)
ということになります。
ワークサイズ=基板サイズ であれば、一番効率が良くて、捨てる部分も発生しません。
これはある意味、コスト的には理想です。
捨てる部分は「捨てて」しまうわけですから、そのまま無駄なコストになってしまいます。
つまり300×300のワークサイズを使う場合、300×200の基板を作ったら
その価格は300×300の値段と同じものになるわけです。
ところが、実際にワークサイズ=基板のサイズ ということは殆どありません。
先に基板のサイズがあるわけです。
それで、②において、300×150を2枚作ることは出来ないのか? と考えるわけです。
これは可能ですね!(実際には「捨てしろ」が必要ですので、もう少し小さい基板になる)
つまり、ワークサイズを把握して、その中で捨てる部分を少なく、何枚の基板を作成することが出来るのか?
これが、コストを安くするコツになってくるわけです。
※ここで使った「基板サイズ」というのは、シートサイズです。
単品基板のサイズではありませんので、ご注意下さい。
そこは、乗り物のモータ関連の開発をやっている部署でした。
ですので、電源としては車や、バイクのバッテリーを使用します。
新入社員のSさんという方がいました。
彼は、純朴な青年で、ちょっとおっとりしたところはあるけれど、
まじめに仕事に取り組んでいました。
ある日、上司の方からSさんに業務命令が出ました。
「バッテリーを6個直列に繋いで、SWを介して使えるようにしておいて」
「はい、分かりました」
そのとき、私は直ぐそばのパソコンで回路図入力の仕事をしていました。
1時間ほど経ったでしょうか?
バッテリーを繋ぐのには、太いワイヤ(車で使っているものを想像下さい)を
ボルトできっちり固定していくので、それくらいの時間がかかったようでした。
Sさんは上司の方が戻ってきたので、
「出来ました」と報告しました。
「それじゃ、まずはSWを入れてみてくれる?」
そのSWは大きなレバーを押すタイプのものでした。
「はい」
Sさんは、SWを入れようとしました。
「馬鹿野郎!!!」
狭い作業部屋中に、上司の方の声が響きました。
Sさんは、ビクッとして、上司のほうを振り返りました。
そのとたんに、Sさんは上司の方から
スリッパで思いっきり頭をなぐられていました。
何ごと? と私もびっくりして、傍に行きました。
Sさんの足元を見ると、バッテリーが6個直列に繋がれて、
その両端がSWに繋がれていました。
Sさんは「きょとん」としています。
「おまえ、これは何だ? 何をしようとしているんだ?」
「バッテリーをSWに繋ぎました」
「よーく、考えろ。ここでSW入れるとどうなる?」
「・・・・・・あっ」
彼はもう一発、頭をはたかれていました。
バッテリー6個直列をショートさせる! どのようなことが起こるのでしょうか?
考えただけでも恐ろしい状況です。
私もバッテリーの直ぐそばにいましたので、ただではすまなかったかもしれません。
Sさんだって、ちょっと考えればわかることだと思うのです。
「間にコントローラを接続して」という一言がなかったのは事実ですが、
それにしても・・・・・・。
誰にでも、瞬間的に訪れる「魔境」だったのでしょうか。
大惨事にはならずに、良かったです。
Sさんの伝説だけが今も残っているそうです・・・・・・。
]]>
さて、これを加工工場が購入して基板を作成するのですが、
このサイズは大きいと思いませんか?
加工するにあたって、非常に扱いにくい大きさであります。
そこで、加工工場では、これを更に分割したものをあらかじめ用意することになります。
例えば、簡単にいえば、①を縦横に4等分するわけです。
すると、25cm×25cmの板が16枚出来上がりますね。
この25cm×25cmの基板をワークサイズと言います。
ワークサイズ=作業する際のサイズ
実際には、紙ではありませんので、カットするに当たり、「きりしろ」が発生しますので、
4等分しても、25cm×25cmにはなりません。
「きりしろ」は色々なファクターが絡んでくるので、一概にどれだけか? は言えませんが、
一般的には5cm程度ではないでしょうか?
加工工場は、このワークサイズを自社で定めたサイズで数種類持っています。
また、試作用(NC加工)、量産用(金型加工)などの用途でも変わる事があります。
仕様(両面、多層)でも変わります。
いずれにしても、加工の方法まで踏まえて、その有効なサイズは決められています。
つまりワークサイズは基板のサイズを決める指標であるわけです。
例え話
子供たちにお菓子を箱詰めにして買うことにしました。
まず、数種類のお菓子を人数分選びました。
次にそれを入れる箱を選びますが、箱は大きくなればなるほど高くなります。
いびつな形のおかしでは、かさばってしまって一般的には詰める個数が減ってしまいます。
同じ形であれば、綺麗に並べて詰め込んでいけば、たくさん入ります。
同じ形であっても、綺麗に並べずに詰め込んだら、入る数は少なくなります。
でも、同じものだけ買っても子供たちから文句が出ますから、組み合わせを考えます。
また、お菓子の袋がスペースを取るのなら、その袋を捨てることも考えられます。
という風に試行錯誤した結果、リーズナブルな箱を使って、子供たちに喜んでもらえるような
妥協点を見出します。
分かりにくかったでしょうか?
うまい例えではなかったかもしれませんが、雰囲気的にでもご理解いただければ・・・・・・。
基板のワークサイズは基板メーカによって決まっています。
そのワークサイズを有効に使えば、コストは下がります。(無駄なコストが省けます)
ここで言うところのワークサイズが先ほどのお菓子の箱なのですが、次はこれについて説明します。
]]>さて、貰った機構図面を見ると、それでも不都合が生じています。
①部品が載らない
(機構的な意味では載っていても、半田付けのためのランドが
基板からはみ出してしまう 等々)
②設計上ありえない制限がある
(部品搭載と反対面がパターン禁止=スルーホール禁止で、
パターン接続が出来ない 等々)
③生産上ありえない配置になっている
(部品同士の自動実装距離が足りていない。
ワイヤリードを手半田するときにその作業スペースが
確保されていない 等々)
④シート化するにあたり問題がある
(ミシン目を使って配置しなければいけないが、
それによる制限(ルーター加工切り落としの機械的デッドスペース
との干渉など)や、バリが出ることの考慮がされていない 等々)
⑤基板製造のルールが守られていない
(基板端から基板内切り穴までの距離が、
板厚よりも狭くなっている 等々)
他にもあるかもしれませんが、まずは上記の問題を機構担当の方と
クリアにすることが、外形最終決定までの第一歩になります。
]]>
出来れば、休みの半分くらいは設計がしたいような状況なのですが・・・・・・。
お客様からは、小さい基板をたくさん設計依頼いただいています。
小さいとはいっても、手間はかかります。
外形データの取り込み、機構担当の方との打ち合わせ、ノイズ対策、
生産性の検討等々、スイッチにコネクタが載っているだけの基板でも
ノウハウはいっぱいあります。
それと、その複数の基板を、いかに安価に、かつ生産効率も良い形でシート化するのか?
についての検討に、かなりの時間を割くことになってしまいます。
下手をすると、設計の時間よりも長くなることもあります。
1、基板形状、仕様
2、生産台数
3、生産能力
4、基板単価
5、基板メーカーの生産能力
これらのことが、それを決定するためのファクターになります。
例えば、単品では20円の差でも、量産で100万台もあると
2000万円の差になります・・・・・・。
ただごとではないですね。
それもベストが出来て当たり前で、そうでなければ損失計上!!!
かなり大変な作業ではあります。